ヨモギとは
ヨモギ(キク科多年草)は本州から九州に至るまで広く分布し、夏までに1メートル成長、秋に多数の花をつけます。
日本では古くから艾の原料とともに、北海道から沖縄まで、その葉を揉んで止血剤として使用する事が盛んに行われていました。
ヨモギが若い芽を出す春先にはヨモギの新葉を使ったヨモギ団子を食べる風習もありますし、東京・墨田区に店を構える老舗の「志満ん(じまん)」はヨモギ餅を1年中食べられる和菓子店として現在も営業されています。
ヨモギは他に腹痛・胃病・便秘等の胃腸症状に煎じて飲んだり、高知県では葉を揉んで噛んで歯痛の民間療法として知られていました。北海道・アイヌの間ではヨモギを茹でた湯気を吸いこみ、風邪の治療に使われていました。
ヨモギは干して艾の原料になり、茹でて薫り高いヨモギ餅になり、煎じて健胃や咳止めになり、揉んで止血薬になり、また古くは家の軒先に挿して魔除けとしても使われていた、オールラウンダーな植物なのです。
ヨモギの成分
お灸治療に使われる艾(もぐさ)は主にヨモギの葉の裏面にある毛茸(もうじょう)と腺毛から出来ています。毛茸はキク科植物等の葉に密生する白い毛の事、腺毛は揮発性の精油(主成分チネオール)が含まれています。チネオールは燃焼時に艾独特の薫りを発します。
毛茸と腺毛の他、ミネラルやたんぱく質、ビタミン等を含み、産地によってその成分は若干異なります。
【参考文献】
『はりきゅう理論』医道の日本社
『中国・四国の民間療法』明玄書房
『北海道・東北の民間療法』明玄書房
『九州・沖縄の民間療法』明玄書房
『もぐさのはなし』織田隆三著